笹島雅彦のブログ

ジャーナリスト・跡見学園女子大学教授の笹島雅彦のブログです。専門は国際関係論・安全保障・アメリカ外交。

トランプ政権誕生1か月

 アメリカのトランプ大統領が就任して1か月が経ちました。

世界中が不安な面持ちでこの新政権の行方を凝視しています。私たちのゼミでは、昨年11月の米大統領選の結果が判明して以降、トランプ大統領が当選した勝因は何か、ヒラリー・クリントン氏の敗因は何だったのか。そして、新政権の政策はどのようなものかを探り、討論を重ねています。

 この政権からは、目が離せませんね。

 

書評合戦「ビブリオバトル」で盛り上がる

 書評合戦「ビブリオバトル」をご存知でしょうか。

 最近、人が集まってお互いに好きな本の書評を語り、聞き手の興味を引いた度合いを競うというこのイベントに注目が集まっています。2010年には、大学生を対象とした「首都決戦」が始まり、2013年からは高校生大会も開かれています。今年1月の高校生大会には、636校が参加するなど、予選参加校も急増しているようです。

 

 これは、学者や出版社、書店代表者らから成る「活字文化推進会議」と紀伊国屋書店がタイアップし、読書の「甲子園」として地方予選と全国大会が運営されており、すそ野が拡大しています。そこで、私たちのゼミでは、夏休みの読書体験に基づいて、それぞれの学生が読んだ本の良さを口頭でアピールするビブリオバトル大会を体験してみました。

 

 学生たちが選んだ本は、国際関係論のゼミらしく、池内恵著「イスラーム国の衝撃」(文春新書)や、渡辺靖著「アメリカのジレンマ」(NHK出版新書)、同著「アメリカン・デモクラシーの逆説」(岩波新書)などが取り上げられました。

 

 また、女性の視点を重視し、シェリル・サンドバーグ著「LEAN IN 女性・仕事・リーダーへの意欲」(日本経済新聞出版社)、渡辺和子著「置かれた場所で咲きなさい」(幻冬舎)などを選んで、熱く語る学生たちもいました。

 

 この競技は、もともと、京都大学の有志の勉強会で、一緒に読む本を選ぶために始まったそうです。最初は、研究室内で楽しまれる会合だったものが、やがて広がっていったわけです。来年には、ゼミ生の中から首都圏の予選大会に応募する人が現れるといいな、と期待しています。

 

 

米海軍横須賀基地見学

 この夏休みを利用して、ゼミ生たちは、在日米海軍横須賀基地を見学しました。日米同盟が実際のオペレーションでどのように運用されているかを現場で確認することが狙いです。

 

 ゼミ生たちは、基地内に停泊していた米海軍駆逐艦「カーティス・ウイルバー」に乗船し、艦内をくまなく観察。乗組員たちと会話したり、水兵と写真に納まったりすることができました。また、同時に展示されていた海上自衛隊掃海艦「えのしま」にも乗船し、幹部から機雷を掃海する実際の方法について学びました。それぞれの艦内において、乗組員から装備の機能について概要の説明を受けることができたことは、有意義なことです。

 

 同基地内では、ちょうど帰港していた原子力空母「ロナルド・レーガン」も近くで観察することができました。ゼミ生たちにとって、米海軍艦船を見るのは初めてのこと。威容を誇る空母の姿に、ただ見つめるばかりです。第七艦隊所属の空母機動部隊は、南シナ海で「航行の自由」作戦を展開し、ハワイ沖の環太平洋合同演習(リムパック)に参加してきたばかりです。

 

 横須賀基地では、ちょうど各艦の修繕工事を行っており、乗組員たちは、久々に家族と再会し、骨休めしているところでした。原子力空母「ロナルド・レーガン」など空母機動部隊にとって、横須賀基地が「事実上の母港」と呼ばれるのは、その軍人家族が横須賀近辺に居住し、太平洋軍司令部の置かれているハワイではなく、前進基地・横須賀が帰港、発進の場になっているからです。米海軍の各艦船は、休養ー訓練ー作戦任務のローテーションを繰り返しながら任務を遂行しています。

 

 日米同盟は、冷戦時代から実態は「海軍同盟」だと、専門家の間で見なされてきました。米海軍と海上自衛隊の共同訓練の中身が濃く、実際のオペレーションでの協力関係が3自衛隊の中で、最も進んでいるからです。その中で、横須賀基地は、米海軍の前方展開にとって、最重要の要といえます。横須賀基地は、厚木航空基地や相模補給廠など神奈川県内周辺の各基地と連携し、有事の際、米軍の集結・出撃基地としての高い即応能力を持っているからです。

 

 横須賀基地は、水深が深く、天然の良港です。戦前は旧日本海軍の基地として利用されていました。日本は、第二次世界大戦前から自力で戦艦を建造してきたアジア唯一の国であり、その高い技術力は現代の造船技術にも生かされてきました。横須賀基地には、艦艇の修理施設があり、日本人従業員も高い技術力を生かして整備・修理を行っています。米国のアジア太平洋戦略にとって、横須賀基地は、決して手放すことのできない要といえるでしょう。

 

トランプチームとヒラリーチーム

 米大統領選は7月、全国党大会の季節を迎え、いよいよ本格化してきました。

 

 私たちのゼミでは今年度、米大統領選プロジェクトを立ち上げ、1年間にわたって米大統領選と新政権への移行期を見守ることにしました。

 

 3年生のゼミ生を2班に分け、当初、共和党チームと、民主党チームでスタート。両党の予備選の様子をフォローしました。両党の大統領選候補者がドナルド・トランプ(共和党)とヒラリー・クリントン民主党)に絞られると、それぞれ、「トランプチーム」と「ヒラリーチーム」に名称を変更、両陣営の動向を探ることにしました。

 

 今回の大統領選は、全く、異例づくめです。共和党側では、党内主流派の有力候補者が次々と脱落し、共和党候補者と言えるのかどうか疑問視されるドナルド・トランプ

予想を裏切って大統領候補者に選出されました。

 

 一方、ヒラリー・クリントンは、バーニー・サンダース上院議員支持者の取り込みを図れるかどうか、メール問題をめぐる有権者からの不信感をぬぐい去ることができるかどうかが大きな注目点です。両候補ともに、TPP(環太平洋経済連携協定)批准に批判的で、米社会が自由貿易主義を受け入れているのかどうか、日本としても気になるところです。

 

 学生たちは、大統領選の勝敗だけでなく、選挙戦の底流を形作るアメリカ社会の格差問題や人種問題、人口動態に注目して調べています。

 

新聞社見学へ出発

 私たちのゼミでは、学生たちが毎週、スクラップブックを作成し、持ち寄っています。学生たちはそれぞれ毎日1本、気になる国際ニュースをスクラップブックに切り抜きし、そこにコメントを書き込んでいきます。1週間で7本の記事をストックしていくことになります。女子学生らしく、ピンク色の表紙のスクラップブックが人気のようです。

 また、その一週間に起きた国際ニュースから1本選び、その週の担当学生が世界の出来事を5分間で報告します。そこからディスカッションを展開し、様々な国際事件の背景を探っていきます。米大統領選や、パナマ文書、世界各地の自爆テロ事件、英国のEU離脱を決めた国民投票など、さまざまなテーマを取り上げています。

 私たちが毎日、切り抜きしている国際報道の記事はどのように送られてくるのでしょうか。そんな疑問の声が出て、このほど、私たちは都内の新聞社を見学してきました。

 仕切りのない大フロアの編集局には、世界主要都市の現在時刻を示すたくさんの時計、NHKやCNNテレビを映し出すテレビがずらりと並ぶなど、編集作業の様子に学生たちは目を見開いていました。この機会に、タブレットを利用した模擬取材体験もさせてもらいました。

 新聞報道をはだで感じる一日になりました。

 

 

 

 こうした作業を続けていくと、

天井画を見上げて

 アメリカの大学院に留学するため、首都ワシントンにやってきました。

1986年夏のことです。

 時はレーガン政権時代。アメリカ連邦議会にほど近いキャピトル通り沿いの小さな民家に下宿しました。ここから連邦議会図書館や連邦議会議事堂までは、徒歩数分です。連邦議会議事堂は、首都の中心とみなされ、ワシントン市の東西南北の区分は、議事堂を中心に定められています。

 連邦議会図書館には、連日のように通い、ときには、観光客でにぎわう連邦議会議事堂ものぞいてみました。その真ん中にそびえる円形ドームを内側から見上げると、高さ55メートルに及ぶ初代大統領・ジョージ・ワシントンを賛美する天井画が目に飛び込んできます。ギリシャ系イタリア人画家・コンスタンティーノ・ブルミディが南北戦争時代に描いたフレスコ画です。

 この絵を見上げて、首都ワシントンにやってきたことを実感しました。この絵は、自由と勝利の女神たちに囲まれたジョージ・ワシントンを描いています。アメリカ独立戦争の指揮官であり、初代大統領であるワシントンを神格化しているわけです。私が超大国・アメリカについて学んでいこうとした第一歩でした。

 ちなみに、この連邦議会議事堂は、黒人奴隷の手によって建設されたそうです。バージニアアレクサンドリア近くのポトマック川沿いにあるジョージ・ワシントンの実家「マウント・バーノン」には、奴隷用宿舎もあります。大統領としてだけでなく、農園経営者としてのワシントンの意外な一面で、ちょっとした驚きでした。その後のアメリカ史をたどると、黒人奴隷問題は暗い影を落としていきます。

 私のウェブサイト(笹島雅彦研究室)にワシントンの天井画を掲載したのは、こんな経緯からです。

 

 

 

桜のキャンパス東日本第1位に

 アメリカハナミズキが白やピンクの花で彩られる季節に移ってきました。

東京近郊では、ツツジが満開を迎えるのも、もうすぐですね。

 ところで、跡見学園女子大学の新座キャンパスでは、今なお咲き誇る桜の花を楽しむことができます。

このキャンパスでは、45種、約190本の桜が3月下旬から順次、咲き誇ります。

季節の最後に、珍しいサトザクラやヤエベニシダレの木々が満開を迎えます。

研究室の窓辺から、息長く舞い散る様々な種類の桜の花を眺めるのは、心休まるひとときです。

 今年の春先、この新座キャンパスが「一度は歩いてみたい国内大学の桜名所」として、東日本第1位に

輝きました(2月27日付「日本経済新聞」プラス1)。桜の愛好家が目を付けるだけのことはある隠れた名所といえるでしょう。

JR武蔵野線新座駅、または東武東上線志木駅からバス便でアクセス可能です。心静かにカメラのレンズを向ける人々が

多いようです。

 東京都文京区の茗荷谷にある文京キャンパス付近には、「播磨坂」という桜の名所もあります。

こちらでは、幅の広い道路の真ん中と両脇に桜のトンネルが長く続き、花見客でにぎわいます。

 57歳で新聞記者から転身し、この大学に移って一年が経ちました。セカンドライフもようやく軌道に乗り、

少し慣れてきましたので、研究室のホームページを開設し、ブログを立ち上げることにしました。

折々の出来事を綴ってまいりたいと思います。             (4月22日 記)