笹島雅彦のブログ

ジャーナリスト・跡見学園女子大学教授の笹島雅彦のブログです。専門は国際関係論・安全保障・アメリカ外交。

米海軍横須賀基地見学

 この夏休みを利用して、ゼミ生たちは、在日米海軍横須賀基地を見学しました。日米同盟が実際のオペレーションでどのように運用されているかを現場で確認することが狙いです。

 

 ゼミ生たちは、基地内に停泊していた米海軍駆逐艦「カーティス・ウイルバー」に乗船し、艦内をくまなく観察。乗組員たちと会話したり、水兵と写真に納まったりすることができました。また、同時に展示されていた海上自衛隊掃海艦「えのしま」にも乗船し、幹部から機雷を掃海する実際の方法について学びました。それぞれの艦内において、乗組員から装備の機能について概要の説明を受けることができたことは、有意義なことです。

 

 同基地内では、ちょうど帰港していた原子力空母「ロナルド・レーガン」も近くで観察することができました。ゼミ生たちにとって、米海軍艦船を見るのは初めてのこと。威容を誇る空母の姿に、ただ見つめるばかりです。第七艦隊所属の空母機動部隊は、南シナ海で「航行の自由」作戦を展開し、ハワイ沖の環太平洋合同演習(リムパック)に参加してきたばかりです。

 

 横須賀基地では、ちょうど各艦の修繕工事を行っており、乗組員たちは、久々に家族と再会し、骨休めしているところでした。原子力空母「ロナルド・レーガン」など空母機動部隊にとって、横須賀基地が「事実上の母港」と呼ばれるのは、その軍人家族が横須賀近辺に居住し、太平洋軍司令部の置かれているハワイではなく、前進基地・横須賀が帰港、発進の場になっているからです。米海軍の各艦船は、休養ー訓練ー作戦任務のローテーションを繰り返しながら任務を遂行しています。

 

 日米同盟は、冷戦時代から実態は「海軍同盟」だと、専門家の間で見なされてきました。米海軍と海上自衛隊の共同訓練の中身が濃く、実際のオペレーションでの協力関係が3自衛隊の中で、最も進んでいるからです。その中で、横須賀基地は、米海軍の前方展開にとって、最重要の要といえます。横須賀基地は、厚木航空基地や相模補給廠など神奈川県内周辺の各基地と連携し、有事の際、米軍の集結・出撃基地としての高い即応能力を持っているからです。

 

 横須賀基地は、水深が深く、天然の良港です。戦前は旧日本海軍の基地として利用されていました。日本は、第二次世界大戦前から自力で戦艦を建造してきたアジア唯一の国であり、その高い技術力は現代の造船技術にも生かされてきました。横須賀基地には、艦艇の修理施設があり、日本人従業員も高い技術力を生かして整備・修理を行っています。米国のアジア太平洋戦略にとって、横須賀基地は、決して手放すことのできない要といえるでしょう。