就活に役立つこともあるゼミ活動
ある日の午前中、ゼミの時間。
ゼミ生の一人がリクルートスーツに身を包んで教室に現れた。
「きょうはどうしたの」
「午後から志望会社の面接があるのです」
「ふーん、がんばってね」
といった他愛ない会話で始まったその日のゼミは、これからスタートするトランプ政権の内政や外交政策をめぐって、その問題点を突っ込んで議論した。今から3年半前のことだ。
その日の午後、学生は外資系IT企業の面接に臨んだ。居並ぶ面接者たちを前に、大学のゼミで国際関係論を学んでいることを話したところ、「それじゃあ、キミ、トランプ大統領についてどう思う?」と聞かれた。学生は、午前中のゼミでの議論を思い出しながら、立て板に水のごとく、自分の考えを述べることができた。面接者のうなずく顔を見て、手ごたえを感じたという。その日の夜、「内々定」の電話連絡を受けた。
その翌週、喜びの報告を受けた。ゼミで学んだことが、こんなにストレートに活きることもあるのか、と驚いた。そのIT企業の社長とは後日、記者会見の席で知り合い、その学生のことを「よろしく」と念押しした。
国際関係を学んだゼミ生たちは、電話会社系ソフト開発企業のエンジニアや大手生命保険会社(総合職)、市役所職員、自動車販売会社などに就職していった。今年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、企業によっては、採用枠に大幅な変更があるところもあり、学生たちは苦戦しているようだ。世界を飛び回ることを夢見て、航空会社を希望していた学生は、今年、「採用中止」となってしまい、全く別の業界へ転進を余儀なくされている。一方、不動産会社から内々定を得た学生も複数いる。
今年は採用面接もオンラインで進められている企業が多く、学生たちも対応に追われている。逆境にめげず、志望する会社目指して奮闘して欲しい。